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乳がんの手術

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これまで乳がんの手術は,乳房の切除(乳房切除術)が行われてきました.

しかし最近では,比較的早期の乳がんに対しては,乳腺の部分的切除と放射線療法を組み合わせる治療(乳房温存療法)が行われることが多くなっています.この方法は,従来の乳房切除術と比べて遜色のない成績で治ることが証明されています.

患者さんは手術療法として乳房温存治療か乳房切除術のいずれかを選択することになります.

乳房切除術

乳房切除術とは胸の筋肉を残し,乳頭や乳輪を含めてすべての乳腺を切除する方法です.皮膚(乳輪と乳頭)を残して皮下の全乳腺を切除する方法を皮下乳腺全摘術といいます.

乳房切除術では原則として手術後の放射線治療は必要ありませんが,腫瘍が大きい場合(目安は5㎝です),リンパ節転移があった場合には,胸壁への放射線照射が必要です.

胸のふくらみは乳房再建術によって作り直すことが可能です.また,乳房のふくらみを補う補正下着も外来で紹介しています.

 

乳房温存術

乳房温存術とは,乳輪・乳頭を残し,しこりを含めた乳腺の部分的な切除(部分切除,1/4切除など)を行う方法です.

温存した乳房には放射線治療を行うことになっています.放射線治療は手術後2ヶ月より開始し(抗癌剤治療を行う場合はその後に開始します),治療期間は約5週間です.

大きな腫瘍では切除する範囲が広くなり,残った乳房が変形する場合があります.高度の変形が予想される場合,乳房の形を整える手術(乳房再建術)が可能です.

しこりが多発している場合や,範囲の広い場合には乳房切除術がすすめられますが,手術の前に薬物療法を行い,しこりを小さくすることで温存手術が可能となる場合があります.

 

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わきの下のリンパ節切除

乳がんは,わきの下のリンパ節に転移することがあります.

わきの下のリンパ節が腫れている場合は,転移を起こしている可能性がありますので,リンパ節を切除する必要があります.

リンパ節の腫れが無い場合でも,顕微鏡の検査で転移が発見される場合があり,これまではリンパ節の切除を行うことが一般的でした.

リンパ節を切除することの後遺症として,腕のむくみ(リンパ浮腫)やしびれを起こすことがあります.

 

センチネルリンパ節生検は,リンパ節転移の無い場合にリンパ節の切除を省略する方法です.色素や放射線物質を用いて,がんが最も転移しやすいリンパ節(センチネルリンパ節:通常1~2個)を見つけ出し,転移がなければリンパ節の切除を省略する方法です.

当院では,手術の前にリンパ節転移はないと予想される場合には,センチネルリンパ節生検を実施し,転移のない場合にはリンパ節の切除を省略しています.

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